パラオー雨

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  先日YouTubeを見ていたら白髪で貫禄のある老人が世界情勢を語っているのを見て、この人は何者なのだろうとウキペディアで調べてみたら、この人は以前パラオ政府の顧問をしているとして詐欺事件を起こしている経歴が載っていた。
 これを見て、私は若い頃ダイビングをしていてダイバーのあこがれの地パラオには何回もかよい、また1年間パラオに住んでいた事を思い出した。パラオはグアムやサイパンと同じミクロネシアにある小さな島国である。
 そういえば、あの頃パラオにダイビングに来ている若い日本人と違い、目つきの鋭い他人の視線を避けるようなしぐさの年配の日本人らしき人たちを見たことがある。彼らはパラオに何をしに来ているのだろうかと一瞬思ったが、私はダイビングに来ているだけなので彼らの行動などその後は気にもしなかった。
 後で知った事だが、パラオ第二次世界大戦の後、日本の信託統治領からアメリカの領土になりその後パラオアメリカから独立した頃、日本人の詐欺師がパラオで暗躍したことは事実だったらしい。しかしそんなことは私にはまったく関心がなかった。
 私がパラオに魅せられたのはダイビングだけではなかった。私はその風景や環境、パラオ人の生活、風俗に魅せられたのだ。
 私は特にパラオに降る雨が好きだった。パラオに降る雨は乾季は南の島特有のスコールだが、雨季はシトシトと1日中降る雨だ。その雨は日本の風景と違うヤシやシダ、プルメリアブーゲンビリアの植物の上に降る。その風情は南の島独特で、私はその雨を見ていると非常に落ち着いた気分になったものだ。
 特に雨季の夜にシトシト降る雨は好きだった。濃い暗闇のなか、シトシト降る雨によって小さな明かりが南の島の植物に妖しく照りかえる様は私の心を永遠に開放してくれたことを思い出した。